出張買取や、持込買取の時に本の塊を運んでいると「力持ちですね」と言われることがあります。
確かにまあ、本って重いですからね。それを数十冊と束ねたものや、満載になった段ボール箱なんか運んでいるとそう見えるかな、とは思います。意外に力仕事多いですし。
実際、古本屋になってから体つきががっしりした、という話は聞いたことがあります(「腰痛めた」と「腱鞘炎になった」の方がよく聞きますが)。ただ、私の場合は小柄で特に筋肉質でもなく、どちらかというと今でも非力な方です。
じゃあ重たい本をがんばって担いでいるのかというと、古本屋になりたての頃を除くと、そういう感覚でもないんですね。どういうことなのか自分でも謎だったんですが、あるとき気が付いたんです。
「あ、これ、重さの感覚がバグってるんだ」と。
他の古本屋さんがどのくらい共感してくれるのか解らないんですが、自分の場合は筋肉がついて重い本を担いでも平気になったと言うよりは、「重い」と思う感覚がおかしくなって、本に限らず「持ち上がる=重くない」みたいな感じ方をするようになってたんです。
持ち上がるから重くない。重くないと思ってるから重くない。けっこうな精神論ですが、自分の場合はこれなんだ、と。
そんな都合のいい話があるものか、という気もするのですが、思い当たる点があります。
私は昔、陸上で長距離をやっていたんですが、最初のうちは3km走る。5km走る。10km走る、みたいなのって、「そんな何キロも走るの?」という感じで、走る前からその辛さを想像してプレッシャーを感じていました。
ところが、慣れてくると「10km走るのってこのくらい」みたいな感覚を体が覚えて、慣れてくるんですね。そうすると最初ほど長い距離だとは思わなくなるし、精神的に身構えるところがなくなるからか、体力がアップしたからという以上に疲れにくく感じられます。「走り切れるかな」と思いながら取り組むのと、「ま、これくらいなら普通に走れるわな」と思いながら取り組むのとでは、やっぱり違うんでしょうね。
重さについても、たぶんこれと同じようなことが起こってるんじゃないかな、と。
というわけで重さの感覚がバグった人間が営むカネシバ書店では量の多い買取や重量のある大型本の買取も安心してご依頼いただけます。
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